当店は野生動物の種の保存に関する法律に基づく特定国際種事業届出事業所です。
古くからの伝統的な印章(印鑑)、当店の方針、古い印章資料(主に印影)や商品等を中心にご案内致します
店主のブログ
当店の方針というよりも、他店の批判になっている文章なので
これを読まれた方からは「他店の批判ばかりして醜い」と反感を買うかも知れません。
しかし、食品の偽装はニュースで大きな話題になっても
ハンコの偽装はニュースになりません。
誰もが毎日食べるもので、人間の生活・生命に重要な関わりがあるものと
使わない人はほとんど使わない物の違いでしょうか。
でも、長年ハンコ屋を営んできた者からすれば、聞き流し出来ない事です。
何よりも、消費者の方にわかって欲しくてこれを書きました。
ここまでズバリ書いているハンコのホームページは他に無いと思いますが
特別な事を書いている訳ではありません。
読んで疑問を持たれた方は、良心的な仕事をしている
別のハンコ屋さんに聞いてみて下さい。
当店がハンコをお届する上で、明確にしておきたい方針をお伝え致します。
①【開運商法はしておりません】
大部分のハンコ店が開運なる印鑑(または開運なる書体の印鑑)を販売していますが、
ハッキリ言います「当店はいかがわしい商法はしておりません」。
別ページで書きましたが、あれはあくまでも業者さんが考え出した商法で多くのハンコ
店が「右へならえ」をしてしまったというのが現状なのです。
開運なる印鑑を販売しているお店の方なら誰でも知っている事ですが、悪用される印
鑑で一番多いのが「開運なる印鑑」です。
理由は「何て書いてあるかゴチャゴチャして読めない」からです。
画数の少ない字の方でしたら何とか読めるでしょうけど、画数が多い字の方は何て書
いてあるかわからないからです。
何より悪用云々以前に、ハンコ屋さんはみんなわかっているんです。
あれはあくまでも商売道具(商品)だという事を。
ウィキペディアに「実印に適した書体」と書いてありましたが開運業者さんが書き込みを
したのでしょうか。
印章(印鑑)技術コンテストに出品もできないこの書体のどこが実印に適しているのか
全く理解できません。
完全手彫りだとか宣伝していても、開運商法を行っている店は皆同等です。
当店は以前、役所関係に印鑑を納品をしていました。
もちろん、役所には「開運なる印鑑」での納品はできません。
(明確な基準は無いのかも知れませんが、どの業者さんもそんなおかしな真似はしません=わかっているからです)
国家の印鑑(多分全て)、上場企業の印鑑(大部分)は通常の印鑑です。
「いや 会社と信仰は別個だから」とお考えの方も居るでしょうが上場企業でも
ビルの建築とかの場合は普通「上棟式」を行います。
これは信仰に関係しているからですが、信仰に関係する印鑑を使用する事は
(ほとんど)ありません。
「素晴らしい字」「美しいオリジナル書体」・・・いろいろ書いてありますが、印鑑の字に関
して言うと書道の分野になります。
開運なる印鑑を書道の先生に字を見てもらって下さい。
もしかしたら面と向かってその人の印鑑を批判する事はしないかも知れません。
しかし、決して素晴らしい印鑑とは言わないはずです。
開運商法話の続きですが、上の3枚の写真を見て下さい。
左は当店で販売しているハンコのひとつで、右2枚は昭和47年製の東京印章協同
組合の印章カタログです。
ボディーの中央に銀色の「しるし」が埋め込まれていますが、これはハンコの上下を
わかりやすくする為に昔からある「丹」というものです。
はんこは開運云々を信仰するものではなく、実用品ですので
昔はしるしの付いたものか、丹入りのものが一般的でした。
しかし、開運商法の方が
1)「印鑑のからだ(ボディー)に傷を付けるのはよくない」とか
2)「印鑑を押す時は重要な時だから、しるしの無い印鑑で捺印時に印面を見てその時
に ''本当に捺印していいのか'' をよく考える為にもしるしの無い印鑑をつかうべき」
と唄い出し、印材メーカー小売店ともに「右へならへ」してしまったので今ではしるしの
無いハンコが一般的になってしまいました。
1=傷ではなくあくまでも「しるし」や「丹」といいます。
昔からある実用的なハンコをこんな表現で語ってヒドいです。
2=一見「なるほど」と思うような理屈で、これは今では広く語られるようになって
しまってます。
しかし、ハンコの利便性と重要書類の検討はあくまでも別です。
書類の重要性は捺印前によく考えるべきですので、ハンコに朱肉を付けていざ
捺印という時に、切羽詰まって検討すべきなのでしょうか。
「ハンコは気軽に押すな」という事は重要ですが、それとしるしの無い
ハンコの不便さを絡めて唄われるのはいかがなものかと思います。
そもそも、開運なる書体の印鑑は文字がごちゃごちゃして非常に見づらくしるしが
無いと、(特に画数の多い字)上下が非常にわかりづらいです。
ハンコに馴染みが無い一般の方は、開運なる書体の印ですと
(文字がわかりにくいので)印面を見て注意しても
上下逆さまに捺印してしまう事があるとのではないかと思います。
ここまで読んでも不安が残る方は、上の写真の右2枚を見て下さい。
これは印章組合のカタログです。
あまり良くないハンコを、組合がカタログに載せるでしょうか。
どちらの理屈を信じるかはお客様の自由ですが、本当のいいハンコをわかって下さい。
また、水牛の角の先端に象牙を付けた「牙次印」や小判型、それ以外でも
昔からある情緒豊かなハンコを悪く書いてあるサイトもありますが理屈は一緒です。
(組合のカタログに全て載っています)
②【手彫り偽装はしておりません】
これはインターネットサイトに多い偽装です。
私が思うに、インターネットショップはほぼ一方通行の宣伝が
出来るからではないでしょうか。
仕事上、同業者のショッピングサイトはよく見ますが 最低でも7~8割
私の正直な感想では9割位が後述1~4のどれかに当てはまると思います。
印鑑は職人の手書き文字を手彫りで作るのが古来からの作成方法です。
しかし、手間が掛る事と、一日につくる本数が限られてしまう事
専門の技術が必要である事。
これはハンコを作る過程を知らない方でも想像はできると思います。
私が言う手彫り偽装とは、
1)完全なる嘘。
2)コンピューター機械で彫刻した後に仕上げと称して
少しだけ彫刻したものを手彫りと宣伝。
3)「手書き、手仕上げ」とだけ宣伝し、途中機械彫刻した事を隠す。
4)言葉での嘘は無いものの、手彫りしている写真を掲載し、手彫りと錯覚させる。
技術をもった職人が、完全手彫りでいいハンコを大量生産できる訳はありません。
海外ではんこを作ると5分位で作ってくれるところがあります。
工法的には「落款印」(主にろう石を鉄筆で彫刻した印)に近いですが
字やバランスに関しては酷いものです。
イメージで、ハンコの技術は日本より中国の方が上と思っている方は多いと思います。
落款印に関しては中国には巨匠と呼ばれる名人が多いですが
日本人が通常実印、銀行印として使うハンコは「木口(こぐち)」といい落款印とは
彫刻方法が違い技術は日本が圧倒的に上です。
当店は、一級印章彫刻技能士が「手造り」したハンコ(木口)を
販売しております。
いいハンコをお手頃価格で提供する為に、「荒彫り」の課程のみ機械を使用します
が熟練職人が手書き、印刀(専門の彫刻刀)で手仕上げした優れたハンコを
提供致します。
③【なぜ職人の仕事にこだわるのか】
「最近はコンピュータの字も良くなったので別にいいじゃないか
なぜそんなに職人にこだわるの?」
=明確に違います。
当店の職人はきちんと印鑑教育を受け、国家資格を取得した職人です。
ハンコは正円または小判型の丸のなかに字を彫刻するものです。
(姓名彫刻の場合)姓2文字、名2文字の人も居れば姓1文字、名2文字
姓3文字名1文字という人も多く居ます。
どのような場合でも、丸の中に字のバランスを考えて美しく収めるのが職人です。
コンピューター彫刻機でも、文字を入力してスタートさせればハンコは出来ます。
しかし、字には法則があります。
一朝一夕で書道が上手にならないように、熟練の職人でないと
いいハンコは作れません。
職人仕事にこだわるのは、お客様自身の為そして当店自身の為でもあります。
お客様自身の為というのは、「二つとして無いハンコが重要」という意味です。
コンピュータ彫刻で同じ名前を入力すれば全く同じハンコが出来てしまいます。
当店自身の為というのは、印章業界の存続の為に安易な方法に頼らず
「唯一無二」というハンコ本来の意味を重視して商品を提供すべきという事です。
コンピューター彫刻したハンコであるならば、激安(大量生産可能な為)で
提供できます。
しかし、どこでも同じハンコが普通に作れるようになったら
ハンコは果たして意味があるのでしょうか。
ネット上のとあるハンコ販売サイトで
「同姓同名の名前でも、印鑑デザイ●ーが1本1本文字を変えて作成しますので
安心です」と書かれていましたので、研究の為に時期を変えて注文してみましたが
専門家の私にでも2本の違いはわかりませんでした。
当店は①②③で書いた通り「売れれば何でもいい」という商法はしておりません。
誤解を恐れずに書けば、「商売ですから売上は多いほど嬉しい」のは本音です。
しかし、「売ってしまえば何でもいい」という商売はしたくはありません。
長い目で見れば、結局は自分の首を絞める事になるのではないかと考えているからです。
お客様の立場で考えても「安ければ何でもいい」だなんて勿体ないです。
過剰な包装で豪華さを演出するのもどうなのでしょうか。
本当に良心的なハンコ屋は、世界でただ一つのハンコを
いかがわしい商法とは無縁に商品を提供しているお店だと信じています。