当店は野生動物の種の保存に関する法律に基づく特定国際種事業届出事業所です。
古くからの伝統的な印章(印鑑)、当店の方針、古い印章資料(主に印影)や商品等を中心にご案内致します
店主のブログ
Q9 枠が太く彫られている印鑑は良くないと聞きましたが
「良くない」という話は開運業者さんが創作した話です。
よく「太い枠が壁になり運気が妨げられる悪い印鑑」など創作された
デタラメが宣伝されています。
運勢と印鑑は関係ない事は他でも繰り返し書きましたが、
太枠の印鑑というのは通常篆書体で多く用いられる彫刻方法です。
印面の枠を太くし、調和をとる為に字は細いタイプにします。
篆書体は筆が登場する以前の書体です。
簡単に言えば「棒で字を書いていた時代」の書体です。
ですから、筆感を出さずに彫る細字の篆書体は本来の篆書体に近い姿なのです。
お客様にわかりやすい様に「太枠細字」と表現していますが、印章用語では
「中輪細字」といい、昔は「中輪唐字」ともいわれていました。
通常の使い方であれば印鑑の摩耗は「枠」から始まります。
そうです 枠が太ければ欠けにくいのです。
40年以上前には多くみられた太枠細字の印鑑は「よくない」どころか欠けにくく、
そして美的調和もとれた素晴らしい印鑑なのです。
高齢の方の(手彫りしかなかった時代に作られた)印鑑を見る機会がありましたら
是非見せてもらって下さい。
太枠細字の篆書体の印鑑をお持ちの方は結構多いと思います。
では、昔の太枠細字の印鑑を持っている人はその印鑑が原因で
一律良くない事が起こったのでしょうか。
そんな訳ないですよね。
庶民が印鑑を使うようになったのは主に明治以降です。
博物館や資料館でその時代の印鑑が押された資料を見る機会があったら
是非「太枠細字」の印鑑を気に留めて見て下さい。
結構多いはずです。
印鑑は全て「手彫り」で「開運印鑑などなかった古き良き時代」は
素晴らしい印鑑が多かったのです。